御袋の認知症が明らかに悪化している。
また、御袋だけでなく、私自身も急激に体調が悪くなってきた。
酷い倦怠感に加えて、お腹と背中に異常を感じる。
痛みは無いが、尋常ではないほど重い。
まるで鉛でも詰め込まれたような感じである。
実は、我が家では2週間ほど前から、ある水素入浴剤を使い始めた。
パウダータイプで、湯の中に入れてかき混ぜるだけで瞬時に大量の水素を発生する。
御袋は未だ数回しか使っていないが、私は毎日使っており、より多くの水素を体内に入れるべく、長時間(合計で30分以上)、湯船に浸かるようにしていた。
使用量も、メーカー推奨の2~3倍の量を入れており、水素濃度を測定したところ、1.0ppm という高濃度であった。
従来の、水素濃度が高くなるまで時間が掛かるタイプと違い、風呂に入る時にさっと混ぜるだけで、高濃度の水素入浴が可能な優れモノと喜んでいたのだが ・・・
御袋の認知症の悪化は偶然かもしれないが、私自身の体調不良の原因は、この水素入浴剤しか考えられなかった為、某研究機関へ問合わせる事にした。
以下は、そのやり取りである。
Q1: パウダータイプの水素入浴剤の下記成分の中に、水と反応して水素を発生させる過程で、人体に悪影響を及ぼす成分が同時に発生しないかご教示ください。
硫酸Na、炭酸水素Na、塩化Na、窒化ホウ素、炭酸Mg、炭酸K、クエン酸Na
A1: ごの成分では水素は発生しません。インチキ商品です。
Q2: 本商品に関しては、水素濃度を測定済みで、推奨の2倍のパウダーを投入した場合は、1.0ppm という高濃度の水素風呂になる事を検証済みです。
もう1度、成分をご確認いただけないでしょうか。
もし、本成分では水素が発生しないのであれば、表示されていない成分が入っており、それにより水素が発生している事になりますので、その場合は、メーカーに問い合わせ致します。
A2: 記載の成分では水素が発生しないのですが、この入浴剤では、NaBH4を入れて、水素を発生させているのだと思います。
この入浴剤については直接調べていませんが、ある水素サプリでは、NaBH4によって水素を発生させていることを確認しています。
NaBH4の危険性については、ネットで調べて頂ければ直ぐに分かります。
問い合わせても、多分、この成分で発生するはずだとか、よく知らない等、まともな回答は貰えない思います。
騙されて信じて販売している方もいるので、なかなか難しい問題です。
Q3: 水素化ホウ素ナトリウムの毒性については、ネットで調べて驚愕いたしました。一刻も早く、御社にて当該商品を検証いただき、被害者が出ないよう告知していただく事を切に望みます。
・・・ ここまでが、2015年3月までのやり取りである。
この後、この水素入浴剤を使う事は中止し、私の記憶から水素入浴剤は消滅していった。
2016年2月 ~
ネットで調べてみると、未だに同じ水素入浴剤が、同じ成分のまま販売されているのを見つけ驚愕した。
怒りが込み上げてきた私は、成分分析を専門に行う複数の会社にNaBH4の検出を依頼してみたが、全ての会社から「弊社では技術的に困難です」 との回答を得た。
また、電話の際、ある会社の担当者から言われたのは次のような内容だった。
担当者:「NaBH4を検出する場合、Na の検出を行う事になると思うが、Na は水素入浴剤の成分の中に元々含まれているので、検出した Na が NaBH4 のものである事を特定するのは困難です」
私は化学の知識はゼロなのだが、この担当者の言葉から分かった事がある。
この水素入浴剤の成分表記は以下の通りである。
硫酸Na、炭酸水素Na、塩化Na、窒化ホウ素、炭酸Mg、炭酸K、クエン酸Na
この中で、異彩を放つ成分がある。
窒化ホウ素(BN)である。
入浴剤に含まれる成分について調べたが、窒化ホウ素(BN)を使用しているのは、水素入浴剤だけであった。
従来の入浴剤にも含まれる”お決まりの成分”でもなく、
水素を発生させるための成分でもない。
しかも、厚生労働省が食品添加物として認めている成分でもない。
何故、窒化ホウ素(BN)を使用する必要があるのか?
NaBH4 の検出を行う際、ナトリウム(Na)ではなく、ホウ素(B)を検出する事が出来た場合、どうなるのか?
入浴剤の成分の中に窒化ホウ素(BN)が無かった場合、成分の中からホウ素(B)が検出されれば、NaBH4 を使用している事を否定しづらいのではないか?
だが、入浴剤の成分の中に窒化ホウ素(BN)があれば、ホウ素(B)が検出されたとしても、それは窒化ホウ素(BN)だとする言い分が通り易いのではないか?
そこで、再び、某研究機関に質問する事にした。
Q1: 下記の成分は、ある水素入浴剤の成分表記です。この成分で水素が発生しないのは分かっておりますが、この中には「窒化ホウ素」なる不可解な成分が含まれています。
これは、成分分析を行われた際、使用している成分に「ホウ素」がないと、NaBH4(水素化ホウ素ナトリウム)を使用している可能性を否定しづらくなる為、メーカーが意図的に入れているのでしょうか?
硫酸Na、炭酸水素Na、塩化Na、窒化ホウ素、炭酸Mg、炭酸K、クエン酸Na
A: ご推測の通りと思われます。
しかし、ホウ素(B)をNMR測定すれば、何が混入していようと確実に同定できますので、ごまかす事はできません。尚、費用は、1検体あたり約40万円になります。
NMR測定について、JEOL RESONANCE社のHPより引用させて頂く。
NMRとは、Nuclear Magnetic Resonance(核磁気共鳴)の略で、NMR装置とは、原子核を磁場の中に入れて核スピンの共鳴現象を観測することで、物質の分子構造を原子レベルで解析するための装置です。
分子構造を原子核レベルで解析する分析装置としては、他に電子顕微鏡やX線回折装置がありますが、NMR装置は測定試料を非破壊で分析できる特長があります。
また測定試料の前処理も他の分析装置に比べ少なくて済むという利点があります。
数万円程度なら自腹で検査費を払い、消費者相談センターに検査結果書を提出するつもりだったが、40万円となると、さすがに厳しい。
確証が取れていない以上、これ以上のアクションは控えるべきであろう。
因みに ・・・ 既にご存知の方も多いと思うが、
NaBH4を用いた水素入浴剤については、何と堂々と特許出願がされている。
本発明は、入浴剤、皮膚外用剤、水の還元処理剤、還元水の製造方法、還元水及び対象物の還元処理方法に関する。
従来、入浴剤は、湯に香りや色をつけて、入浴者に楽しみや癒しを与えるもの、また、炭酸ガスを発生させて、血行を促進させるものがあった(例えば、特許文献1参照)。実開平3-111348号公報
しかし、炭酸ガスによる血行促進だけでは、健康を維持するほどの大きな効果は得られなかった。
そこで、本発明は、老化を防止し健康維持に優れた効果を発揮すると共に美容効果も得られる入浴剤、皮膚外用剤、水の還元処理剤、還元水の製造方法、還元水及び対象物の還元処理方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る入浴剤の特徴は、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム及び炭酸ナトリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の第一のアルカリ剤と、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種の第二のアルカリ剤と、水素発生剤として水素化ホウ素ナトリウムとを含有することにある。
~ 中略 ~
さらに、上述の如く、水素化ホウ素ナトリウムは、酸性ほど急速に反応が進む。人体の皮膚は弱酸性であるので、入浴中の人体の皮膚近傍で水素化ホウ素ナトリウムをより多く反応させることができ、効率よく入浴者の体内細胞の酸化を緩和することが可能となる。
~ 中略 ~
上記特徴構成において、前記還元処理対象物は、人体である。上述の如く、還元処理剤を投入した水は還元状態(酸化還元電位がマイナス側)であるので、水中の活性水素が皮膚に浸透し、体内細胞の酸化を緩和する。しかも、水はアルカリ性であり、人体の皮膚は弱酸性である。よって、水素化ホウ素ナトリウムを人体の皮膚でより多く反応させることができるので、皮膚近傍で効率よく活性水素を発生させて、体内細胞の酸化をより緩和することが可能となる。
~ 後略 ~
いやはや恐ろしい時代である。
金儲けが全てであり、”他人がどうなろうが知ったこっちゃない” という思想が、ここまで聞こえてきそうである。
自分の体は自分で守るしかないのである。
尚、この後、私は、1日あたり岩盤浴に3時間程度入り、2リットル以上の水を飲むという事をひたすら続け(毎日ではないが)、約1ヶ月で体調が元に戻った。
後に読んだ書籍 『医者とおかんの社会毒研究(内海聡 著)』 の中に記載されていたが、低温サウナを中心とした汗による解毒は、医学的治療としても有効なようである。
「水素化ホウ素ナトリウム」を使用した水素入浴剤の危険性(毒性)についても触れておく。
水素化ホウ素ナトリウムを使用した水素入浴剤を使うと、湯船の中では以下の反応が起こる。
水 + 水素化ホウ素ナトリウム ⇒ 水素 + ホウ酸
湯船に水素入浴剤を入れる前の状態(水素化ホウ素ナトリウムそのもの)も極めて毒性が強いが、湯船に入れた後の状態(ホウ酸)も同様である。
では、実際どれくらいの危険性(毒性)があるのか ~
水素化ホウ素ナトリウムの危険性(毒性)について
■危険有害性情報
・飲み込むと有毒
・皮膚に接触すると有毒
・重篤な皮膚の薬傷
・眼の損傷
・重篤な眼の損傷
・呼吸器への刺激のおそれ■予想される急性症状及び遅発性症状
吸入:灼熱感、咳、咽頭痛、息苦しさ、息切れ。
皮膚:発赤、痛み、皮膚熱傷。
眼 :発赤、痛み、重度の熱傷。
経口摂取 : 咽喉や胸部の灼熱感、腹痛、嘔吐、ショック/虚脱。■最も重要な兆候及び症状
眼、皮膚、気道に対して腐食性を示す。
■環境に対する注意事項
環境中に放出してはならない。
蒸 気 , 粉 塵な ど を 吸 入し た 場 合:
症状は遅れて現れることがある。軽い暴露の際には,昏睡,意識混濁,頭痛と胸の圧迫感などが現れる。
重症のときには,発語不明瞭,嗜眠(しみん)状態,腕のふるえと筋肉のけいれん,意識不明と全身けいれんを起こす。
肺水腫も起こる。腎・肝臓不全を生じる。
有害性 :
粉塵は眼、気道、肺及び皮膚に対して強い刺激性がある。この物質を体内に吸入すると、神経組織及び脳に影響を与える。酸類と接触すると、反応して猛毒のジボランが生じる。
ホウ酸の危険性(毒性)について
<毒性>
認知症患者での自家製ゴキブリ団子の大量摂取による死亡例の報告がある。ホウ酸類の摂取では、個人差が大きいため、最小到死量、最大耐量は十分に確立していない。重篤な症状や死亡は急性摂取ではまれだが、乳児、子児では成人に比べて起こりやすい。
経口到死量:乳児:2~3g、幼児:5~6g、成人:15~20g
経口中毒量:成人:1~3g
<要点>
ホウ酸は、容易に入手でき、古くから洗眼、うがい、皮膚・粘膜の消毒などに使われてきたことから、その毒性に対する認識が不十分で安易に扱われやすいので注意が必要。
<体内動態>
吸収:健康な皮膚面からも吸収されるが、消化管、粘膜、傷のある皮膚からとくによく吸収
分布:脳、肝、腎に分布
排泄:12時間以内に50%が尿中へ排出されるが、85%~100%の排泄には、5~7日以上かかる
<中毒的薬理作用>
細胞毒性(組織の損傷は回復不能で、特に尿細管上皮に顕著)と中枢神経抑制作用
最後に ・・・
非常にユニークな水素入浴剤の特許を見つけたのでリンクを貼っておく。
水素化ホウ素ナトリウムを使用した水素入浴剤なのだが、水素化ホウ素ナトリウムそのものの毒性も、湯船に入れた後で発生するホウ酸の毒性も押さえ込む工夫がされており、まさに ”技あり!” な商品である。(笑)
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